留学カウンセラー 桜井彰子
1.IELTS6.0以上の英語力をつける
オーストラリアの永住権を取得する際には、ポイントテストと呼ばれるテストで60点以上の成績を上げる必要があります。
ポイントテストの試験では、IELTSのスコアが全セクションで6.0以上の英語力が必要です。
IELTSとは、国際的に認知された英語力を証明する試験の一つで、ジェネラル・トレーニング・モジュールテスト(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つのスキルを評価するテスト)を行います。
IELTSの6.0とは「一般的な意味での英語を理解し、使える」レベルを示しており、英検に換算すると準1級〜1級程度の難易度です。
具体的には、日常会話や基本的なビジネスコミュニケーションができるレベルとなっています。
申請する職業によっては、IELTSが7.0以上必要な場合もあるため、詳細情報をそれぞれの州の移民局サイトで確認しておきましょう。
2.技術職リストにある職種の技能・資格を取得する
オーストラリア政府が発行する技術職リストにある職種の技能・資格を取得すると永住権を獲得できます。
技術職リストは、オーストラリアで求められているスキルを持つ外国人労働者を引き寄せるためのもので、例えば、建築士、看護師、エンジニアなどが含まれています。
資格を取得するためには、それぞれの職種に対応した訓練や教育プログラムを受けることが必要です。
技術独立永住ビザ(サブクラス189)
技術独立永住ビザの内容 | Skilled Independent visa(subclass 189)と呼ばれています。オーストラリア政府が定める技術職リストに掲載されている特定の職種でのスキルと経験を持つ外国人に対して発行されます。 |
永久ビザ申請条件 | ・45歳未満 ・技能審査の合格 ・ポイント審査:65ポイント以上 ・技能職リストの資格・技能を所持している |
必要な英語力 | IELTS 6.0 |
費用 | A$4,240 |
URL | https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/skilled-independent-189/points-tested#Overview |
技術指名永住ビザ(サブクラス190)
技術独立永住ビザの内容 | Skilled Nominated visa(subclass 190)とも呼ばれています。オーストラリアの州・準州が定める政府機関で技術職リストに掲載された技能を持つ外国人をノミネートして発行されます。ビザを取得した際には、数年間ノミネートされた州に居住することとなっています。 |
永久ビザ申請条件 | ・45歳未満 ・技能審査の合格 ・ポイント審査:65ポイント以上 ・技能職リストの資格・技能を所持している |
必要な英語力 | IELTS 6.0 |
費用 | A$4,240 |
URL | https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/skilled-nominated-190#Overview |
こうした技術を習得するには、専門学校や大学などで履修する必要がありますが、4か月以上の受講が許可されていないワーキングホリデービザでは履修が難しいです。
もし技能・英語力が不足していて永住ビザの申請が難しい場合は、以下の3つのEmployer Nomination Scheme(サブクラス186)ビザから永住権を取得することを目指しましょう。
Direct Entry stream
Direct Entry streamの内容 | オーストラリアでの仕事や生活の経験がない、または少ない人々がオーストラリアの永住権ビザを申請するために利用されます。 |
永久ビザ申請条件 | ・45歳未満 ・技能審査の合格 ・技能職リストの資格・技能を所持している ・最低でも3年間の関連する実務経験があること |
必要な英語力 | IELTS 6.0 |
費用 | A$4,240 |
URL | https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/employer-nomination-scheme-186/direct-entry-stream |
Labour agreement stream
Labour agreement streamの内容 | オーストラリア国内で労働力不足が生じている特定の産業や地域、または特定の企業での労働協定(Labour Agreement)の下で働くことが予定されている外国人労働者を対象としています。 |
永久ビザ申請条件 | ・45歳未満 ・雇用主と労働契約していること |
費用 | A$4,240 |
URL | https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/employer-nomination-scheme-186/labour-agreement-stream |
Temporary Residence Transition stream
Temporary Residence Transition streamの内容 | 既にオーストラリアで一定期間(最低3年間)働いていて、雇用者との労働契約を結んで働いている人々を対象としています。 |
永久ビザ申請条件 | ・45歳未満 ・TSS・関連ビザの保有 ・最低でも3年間フルタイムでの雇用主の元での仕事経験があること |
必要な英語力 | IELTS 6.0 |
費用 | A$4,240 |
URL | https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/employer-nomination-scheme-186/temporary-residence-transition-stream |
上記資格を取得すると、永住権申請の成功確率が高まります。
3.長期就労ビザを取得する
長期就労ビザ(サブクラス457)を取得すると永住することが可能です。
長期就労ビザは特定の職種での長期就労を可能にするもので、通常はオーストラリアの企業が外国人労働者を雇用する際に申請します。
長期就労ビザを取得後にオーストラリアで2年以上就労していれば、永住権の申請が可能です。
4.パートナービザを取得する
パートナービザ(サブクラス309)を取得してからサブクラス100のビザを目指し、永住権を取得するのも一つの方法です。
サブクラス100を取得すると永住権を獲得できます。
パートナービザ309については、以下の通りです。
パートナービザ | 対象者の配偶者または事実上のパートナーがオーストラリアに滞在し、サブクラス100の申請結果が決定されるまで、または申請が撤回されるまで滞在できるビザ |
永久ビザ申請条件 | ・両者とも18歳以上 ・12ヶ月以上事実上のパートナーである ・オーストラリア人やオーストラリア永住者、ニュージーランド人で資格を持っているパートナーまたは夫婦が存在すること |
サブクラス309の有効期限 | サブクラス100の申請が完了するまで |
費用 | A$8,085 |
URL | https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/partner-offshore |
サブクラス100
パートナービザ | パートナーとの関係が継続的に維持されている場合にサブクラス309とセットで申請できるビザです。 |
永久ビザ申請条件 | ・両者とも18歳以上 ・パートナーとの継続的な関係の維持 |
サブクラス309の有効期限 | サブクラス100の申請が完了するまで |
費用 | A$8,085(サブクラス309と一緒に支払う) |
URL | https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/partner-offshore |
サブクラス309のビザを取得すると、以下のメリットがあります。
・申請に扶養子供を含めることが可能
・いつでもオーストラリアを出入り可能
・Medicare(オーストラリアの国民健康保険)に加入できます。
・サブクラス100のビザ審査中もオーストラリアで生活、就労、学習が可能
オーストラリアの市民または永住権保持者と結婚した場合、または事実上のパートナーとして認識された場合に取得可能です。
パートナービザは一時的なビザ(サブクラス309)から始まり、条件を満たした場合に永住ビザ(サブクラス100)に移行します。
ただし、この方法はパートナーとの関係が本物であることを証明する必要があり、その証明は厳格に審査されます。
3種類の技能職リストについて
永住権を取得する際に必要となる技術職リストは、MLTSSL・STSOL・ROLの3種類に分かれています。
それぞれの違いについては以下の通りです。
1.MLTSSL:中長期戦略の技能リスト
中長期的に国内で需要が見込まれる職種は、「MLTSSL:中長期戦略的技能リスト」として公表されています。
MLTSSLに掲載された職種の技能を持つ人々は、ビザ申請で優遇されている職種が多いです。
例えば、システムエンジニア、看護師、医師、シェフ、大工、会計士などがあります。
職種の技能を取得し、実務経験を積むことで、オーストラリアの永住権取得に大きく近づけます。
2.STSOL:短期技能の職業リスト
「短期技能職業リスト(STSOL)」は、短期間に特定のスキルが必要とされる職種が多いです。
STSOLに含まれる職種の技能や経験を持つ人々は、特定の短期ビザの取得に有利です。
しかし、リストに掲載された職種でビザを取得した場合、永住権に申請できる職種が限られており、取得は必ずしも保証されません。
例えば、薬剤師、マッサージセラピスト、美容師、庭師、料理人、航空整備士などです。
3.ROL:地域の職業リスト
「地域の職業リスト(ROL)」は、特定の地方都市で需要が高い職種です。
オーストラリアは地理的に広範で、地域によって必要とされるスキルや職種が異なります。
ROLに掲載されている職種で働くことにより、地域のビザや永住権の取得に有利となる場合があります。
例えば、地方部では専門医や看護師などの医療関連職や保育士、歯医者、薬剤師などが高い需要を持っています。