忘れがち!?日本にいない間の公的手続き

オーストラリアでの留学を安心して過ごすためには、出発前にさまざまな準備が必要です。その中でも見落としがちなのが「日本国内で行うべき公的手続き」です。短期・長期いずれの留学でも、自分の滞在期間や生活状況に応じて必要な手続きを確認しておくことで、現地で余計な不安を抱えることなく勉強や生活に集中できます。

ここでは、特に50代・60代の方々が留学する際に押さえておきたい手続きを整理しました。出発前にゆとりをもって準備を進める参考になさってください。

短期留学(3カ月未満)の場合

短期留学の場合、特別に定められた公的手続きは基本的にありません。住民票や税金の扱いも通常通りとなりますので、大きな手続きが必要になることは少ないでしょう。

ただし、注意していただきたいのは「日本での各種更新時期が、ちょうど滞在中に重なってしまうケース」です。留学期間がたとえ数週間〜2カ月程度であっても、下記のような手続きは事前に確認しておくことをおすすめします。

自動車運転免許の更新

日本では、運転免許の更新期間が誕生日の前後1カ月に設定されています。ちょうど留学期間と重なってしまうと、日本にいないために更新ができず、最悪の場合「失効」してしまうこともあります。シニア世代にとって運転免許は身分証明書としての役割もありますので、更新時期が近い方は出発前に早めの更新手続きができないか最寄りの運転免許センターに確認しておきましょう。

クレジットカードの有効期限

留学中に日本で発行されたクレジットカードの有効期限が切れてしまうと、現地での支払いやオンライン決済ができなくなります。とくにオーストラリアはキャッシュレス文化が進んでおり、カードが使えないのは大きな不便です。出発前にご自身のカードの有効期限を確認し、更新が近い場合は新しいカードを受け取ってから出発するようにしましょう。

長期留学(3カ月以上)の場合

長期での留学、特に学生ビザを利用して3カ月以上滞在する場合は、日本国内で行っておくべき手続きが増えます。これらを出発前に済ませておくことで、留学中に余計な支払いを避けられたり、日本国内からの連絡に慌てなくて済むようになります。

海外転出届(住民票)

市区町村役場に届け出ることで、日本国内における住民票を一時的に抜く手続きです。これを行うと、住民税や国民健康保険料の支払い義務がなくなる場合があります。留学が1年以上の場合は原則として提出が推奨されますが、3カ月以上の滞在でも希望すれば提出可能です。詳細は各市区町村によって異なりますので、必ず事前に問い合わせて確認しましょう。

国民健康保険の脱退

海外転出届を提出すると、国民健康保険から自動的に脱退することになります。オーストラリア滞在中の医療費は現地の保険制度や留学保険でまかなうことになりますので、日本での保険料を二重に払わずに済みます。なお、短期留学で海外転出届を出さない場合は、引き続き国民健康保険料を納める必要があります。

国民年金の手続き

年金を受給中、あるいはこれから受給を予定している方にとって、海外滞在中の年金の扱いはとても重要です。海外転出をした場合でも年金制度への加入義務は続きますので、納付の方法や受給のための届け出については事前に日本年金機構のホームページを確認するか、年金事務所で手続きを済ませておくことが必要です。

住民税・所得税の納付

留学に出る前の1年間に収入がある場合、住民税や所得税の支払いが発生します。納付スケジュールを確認し、一括で支払うのか、代理人を立てて納税するのかを決めておく必要があります。代理人を指定する場合は、「納税管理人」の届出を役所に提出しておくと安心です。

郵便物の転送設定

留学中も、日本から届く郵便物がある可能性があります。重要な書類や銀行からの通知などを見逃さないよう、郵便局の「転送サービス」を利用してご家族の住所などへ転送できるようにしておくと安心です。

留学後の公的手続き

長期留学の場合、オーストラリアに到着後にも必要な手続きがあります。

在留届の提出

留学期間が3カ月以上の場合、日本の外務省が管轄する「在留届」を提出することが義務付けられています。これは現地での住所や連絡先を日本政府に知らせておくための手続きで、万が一の自然災害や事故の際に安否確認や救援を受けやすくなるという大切な役割があります。提出はオンラインでも可能で、外務省の「在留届電子届出システム(ORRnet)」を利用するとスムーズです。

シニア留学における注意点

50代・60代の方がオーストラリアに留学する場合、若い世代と比べて生活基盤が日本にしっかりある分、出発前に調整すべきことが多いのが特徴です。以下の点も併せて考えておくと安心です。

  • 医療保険の確認:現地での医療は高額になるため、海外旅行保険や留学保険の加入が必須です。既往症がある場合は、補償範囲をよく確認しましょう。
  • 定期的な支払いの整理:日本で契約している公共料金やサブスクリプションなど、自動引き落としにしておくか、不要なものは解約しておきましょう。
  • 家族への連絡体制:留学中も家族と連絡を取りやすいように、LINEやメールを使った定期的な連絡手段を決めておくとお互い安心です。

まとめ

オーストラリア留学は新しい挑戦であり、大きな楽しみでもありますが、同時に日本での生活基盤を一時的に離れることを意味します。出発前に必要な公的手続きを確認しておくことで、余計な不安やトラブルを防ぎ、現地での学びや交流に集中することができます。

短期の場合は大きな手続きは不要ですが、免許やカードの有効期限を必ず確認しておきましょう。長期の場合は海外転出届や年金、税金、郵便物の転送など、多岐にわたる準備が必要です。そして現地到着後は在留届を忘れずに提出してください。

シニアの皆さまにとって、留学は人生を豊かにする大きな一歩です。安心できる準備を整え、オーストラリアでの素晴らしい体験を心ゆくまで楽しんでいただければと思います。

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