留学というと、若い人のものというイメージを持っている方も多いかもしれません。でも最近では、人生のセカンドステージを前に「もう一度英語を学びたい」「海外の生活を体験してみたい」と考える50代・60代の方が増えています。
留学は旅行のように数日行って帰ってくるというわけではありません。短期間であっても現地で暮らすことが留学の醍醐味でもあります。
一方で 「スーパーとか病院とか、英語でどうすればいいの?」
「一人で行って、移動もちゃんとできるか心配」という方もいると思います。
確かに、海外の生活となると勝手の違いも多いですし、シニア世代の方にとっては、なおさら気になるポイントですよね。
そこで今回は、「オーストラリアのスーパー事情」「病院のかかり方」「公共交通の使い方」についてご紹介します。
これを読めば、現地での生活イメージがぐっとつかめてくるはずです。安心して、留学という一歩を踏み出すための参考にしてみてください。
スーパー事情:品揃えは日本とほぼ同じ
オーストラリアには、どの都市にも大型のスーパーマーケットがあります。有名なのは「Woolworth(ウールワース)」と「Coles(コールス)」の2大チェーン。留学生は必ずといっていいほどお世話になるスーパーです。日本でいうと、イオンとイトーヨーカドーのような存在でしょうか。
また、ALDIというスーパーもオーストラリアでは有名です。 野菜や果物、肉、パン、乳製品、日用品まで、生活に必要なものは一通り揃っています。オーストラリアは先進国ですので、必要なものが手に入らないという心配はまずありません。
関連リンク:Woolworths
Coles
ALDI
ちょっと驚く?商品のサイズ感

オーストラリアのスーパーは日本と比べると食材の一つ一つのサイズが大きいです。例えば、野菜のナスは日本の1.5倍くらいの大きさ。牛乳やジュースも1リットルではなく、2リットルや3リットル入りの大ボトルが主流です。その分、カートもビックサイズです。
でも、これは「節約になる」という一面も。1つ買えば何回かに分けて使えますし、冷蔵保存や冷凍保存をすれば長く持ちます。
「使い切れなかったらもったいない」と感じる方も、量の調整をしながら自炊すれば、食費の節約にもつながります。
日本食も意外と手に入る

「でも、どうしても和食が恋しくなったら?」
そんなときも大丈夫です。
大手スーパーでは、日本のお米に近い短粒種(もちもち系)のお米が手に入りますし、しょうゆ、カレールー、乾麺(うどん・そば)などの基本的な調味料・食材も扱っています。
さらに、街によってはアジアンマーケット(アジア食材専門店)や個人商店などもあります。そこでは、納豆やめんつゆ、日本のカップラーメン、スナック菓子、せんべい、おーいお茶やポカリスウェットなど日本でもお馴染みのドリンクも売られています。
ただし、アジアンマーケットに並ぶ日本の商品はすべて割高です。なので、「ご褒美としてたまに買いに行く」くらいの感覚がちょうどいいかもしれません。
惣菜も売られている?外食と自炊のバランスが大事

スーパーにはお惣菜コーナーもありますが、日本のようにバリエーション豊富な「お弁当」や「煮物」「コロッケ」などが並んでいるわけではありません。
サラダやパスタ、サンドイッチなどの軽食、ローストチキンなどのメイン料理が主です。中には「SUSHI(寿司)」と書かれたコーナーもありますが、お米がちょっと固かったり、ネタがサーモン中心だったりと日本のお寿司のクオリティには及ばないというのが正直なところ。
どうしても美味しいお寿司が食べたくなったら、現地の日本食レストランで外食するのがおすすめです。
お肉の買い方は?
日本のスーパーでは、豚肉や牛肉などが100g〜300gくらいの量でスライスされてパック詰めされているのが一般的ですが、オーストラリアでは1kg以上の「塊肉(ブロック肉)」で売られていることが多いです。
しかも、「しゃぶしゃぶ用」や「焼き肉用」のような薄いカットスライス肉はなかなか手に入りにくいです。
そのため、日本の感覚で「今日はちょっとだけお肉を買おう」と思っても、量の多さに驚くかもしれません。
●精肉コーナーを活用しよう
「もっと少ない量で買いたい」「部位を選びたい」そんなときは、スーパー内にある精肉コーナーを活用するのがポイントです。
対面式で注文する形になっており、お肉の種類やグラム数を伝えると、希望の量をその場で計って渡してくれます。英語での注文が不安な方でも、例えばお肉を指さしながら”This one, 200 grams, please.” という感じで注文すればOKです。
また、ミンチ(ひき肉)、ソーセージ、味付け済みのチキンなども並んでいて、調理の手間を減らしたいときに便利です。
●薄切り肉が欲しいときはどうする?
「どうしても薄切り肉が欲しい!」という場合には、アジア系スーパーが頼りになります。オーストラリアの主要都市(シドニー、メルボルン、ブリスベンなど)には、アジアンスーパーも点在しており、ここでは日本食材や薄切り肉も手に入ることが多いです。
地元気分を味わえるマーケットもおすすめ

スーパー以外にも、「ファーマーズマーケット」と呼ばれる地元の市場があります。週末や特定の曜日に開催されることが多く、その土地で採れた新鮮な野菜や果物をはじめ、チーズ、ハチミツなどの食材、手作りの雑貨なども購入できます。地域の公園など、屋外の一角を使って開催されることが多いので、天気がいい日に散歩がてら行ってみるのも楽しいです。
また、メルボルンには、クイーンヴィクトリアンマーケットという有名な市場があります。
常設の市場で週に5日営業していて規模がとても大きいのが特徴です。
建物の中で営業しているので、雨の日でも買い物しやすいです。
野菜や果物、肉、魚、パン、チーズ、ワイン、雑貨、衣料、土産物まで何でもそろい、フードコートやカフェもあるので歩いているだけで楽しいです。
ファーマーズマーケットも、ヴィクトリアンマーケットなどの常設のマーケットでも、お店の人と会話しながら買い物ができるのが楽しいポイント。食材も量り売りで購入できるので必要な分だけ買えるのも嬉しいです。商品によっては味見させてくれたりもするので、吟味しながら買うこともできます。
また、マーケットの雰囲気はとても和やかで、ちょっとした観光気分も味わえます。地元の人と同じように生活を体験したい方には、ぜひおすすめしたいスポットです。
関連リンク:Australia farmers’ markets assosiation
Queen Victoria Market
支払いは、キャッシュレスが主流

オーストラリアは日本よりもキャッシュレス化が進んでいます。ほとんどの場所で、クレジットカードやデビットカードでの支払いが可能です。
長期の留学で現地で銀行口座を作る方は銀行からデビットカード機能付きのキャッシュカードがもらえますので、スーパーやカフェ、レストラン、薬局などでもスムーズに会計ができます。
また、スーパーではセルフレジ(自分でバーコードを読み取って支払うタイプ)も広く導入されています。使い方がわからなければ、店員さんがそばにいて助けてくれます。
ちなみにエコバッグはオーストラリアでは必須アイテム。オーストラリアの大手スーパーでは環境保護のため、有料のビニールのレジ袋も廃止されているので、買い物時にはエコバッグを持参しましょう。各スーパーにはオリジナルのショッピングバッグも販売されていて、デザインも可愛いのでお土産として買うのもおすすめです。
オーストラリアの医療事情

海外生活で「万が一」のときに備えておきたいのが、医療についての情報です。特にシニア世代の方は、日頃から健康に気を使っている方が多いからこそ、「病気になったらどうしよう」「英語でうまく症状を伝えられるか不安」という気持ちが強いかもしれません。
ただ、心配は不要です。オーストラリアは先進国であり、医療も安心して受けることができます。ただ、日本と少し病院の仕組みが異なるのでここで少し説明をします。
オーストラリアの病院の仕組み
オーストラリアでは、基本的に「GP(General Practitioner)」と呼ばれる一般開業医が、最初の窓口になります。日本のように、いきなり耳鼻科や内科などの専門医にかかることは少なく、まずはGPに診てもらうのが基本です。
風邪や軽い不調などは、ほとんどGPで完結しますし、もし専門的な治療が必要と判断されれば、GPから紹介状をもらって専門医に行く、という流れになります。
ですので、オーストラリアに到着したら、まずは自宅や学校の近くのGPを調べておくのがおすすめです。
海外旅行保険には必ず加入をしていく

ここで注意したいのが「医療費の高さ」です。オーストラリアの医療費は、非常に高額です。日本のように保険が自動的に適用されるわけではないので、保険なしで受診すると数万円~十数万円かかることもあります。
そのため、渡航前に必ず海外旅行保険には加入しておきましょう。
また、保険会社によってはキャッシュレス診療(現地で支払い不要)に対応している病院のリストを用意しています。渡航前にそのリストを確認しておくと、もしものときに慌てずに済みます。
歯科治療は特に注意を
そして、もうひとつのポイントが「歯科治療」。
オーストラリアでは歯科治療の費用が非常に高く、保険によっては対象外となっていることもあります。虫歯の治療だけで数万円かかるケースも珍しくありません。
そのため、保険の契約時には「歯科治療が対象かどうか」をしっかり確認しておくことが重要です。
もし保険の対象外だった場合は、日本で治療を終えておくのがベスト。特に長期での留学を考えている方は、出発前に歯のチェックをしておくことを強くおすすめします。
日本語対応の病院もある
「でも、英語で症状を伝えるのは不安…」という方、ご安心ください。
シドニーやメルボルン、ブリスベン、ゴールドコーストなどの都市には、日本語が通じるクリニックもあります。日本語での予約だけでなく、LINEなどのチャットアプリを使って問い合わせができる病院もあるので、英語に自信がなくても安心して受診できます。
参考までにほんの一部ですが以下のような日本語対応クリニックがあるので参考にしてみてください。ご自身が行かれる地域にも日本語対応のクリニックがあるか調べておくと安心です。
一人でも安心して移動できる!公共交通機関の使い方

初めての海外、しかも一人での移動となると「ちゃんと電車やバスに乗れるのかな…」「道に迷ったらどうしよう」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、ご安心ください。オーストラリアの公共交通機関はとてもわかりやすく整備されており、日本と同じように電車やバスなどを利用することができます。都市によっては、トラムやフェリーもあります。
都市ごとに異なる交通系ICカード(たとえば、シドニーならOpalカード、ブリスベンならgo card)を使えば、チャージ式で、カードをタッチをして乗り降りができて便利です。日本のSuicaやPASMOのようにタッチするとチャージしている金額から乗車料金が引かれる仕組みです。
カードの購入やチャージは空港や駅、コンビニのようなお店(セブンイレブンなど)で手軽にできます。
関連リンク:
ちなみに、メルボルンではフリートラムゾーンという無料で乗れるエリアがあったり、パースではキャットバスという無料の市内バスが走っていたりもしますので、節約のために利用するのもいいでしょう。
UBER(ウーバー)の利用も安心
また、特にシニア世代に人気なのが「UBER(ウーバー)」という配車アプリ。
日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、オーストラリアではとても一般的な移動手段です。アプリで行き先を入力するだけで、現在地まで車が迎えに来てくれます。金額もあらかじめ表示され、支払いもアプリ内で完了するため、現金のやり取りも不要です。
タクシーよりも料金が安く、英語が苦手でもドライバーとの会話がほとんど必要ないため、安心して利用できます。
また、車のナンバーやドライバーの顔写真、評価なども事前に確認できるため、セキュリティ面でも信頼されています。
関連リンク:https://www.uber.com/au/en/
最後に:生活の基本を知っておくと、不安はぐっと減らせます

オーストラリアでの留学は、「生活する」ことが前提になります。観光や旅行とは違って、毎日のごはんや買い物、急な体調不良、通学やちょっとした外出など、暮らしの中で必要な行動がすべて「海外仕様」になります。
でも、だからこそ、現地のスーパー・病院・公共交通の使い方を事前に知っておくだけで、不安を大きく減らすことができます。
オーストラリアのスーパーは品ぞろえも豊富で、自炊も十分可能ですし、日本食も意外と手に入ります。病院はGP(一般開業医)にまずかかるという仕組みを知っていれば、いざという時も落ち着いて対応できます。交通機関も、日本のICカードのような仕組みが整っていて、慣れればとても便利です。
そして何より、オーストラリアは高齢者にもとても優しい国です。人々もフレンドリーで、困っていれば声をかけてくれることも多いですし、公共機関もわかりやすく設計されています。
初めてのことが多くて戸惑う場面もあるかもしれません。でも、「知っている」というだけで、それは大きな安心につながります。
生活の基本を押さえておくことで、自信をもって一歩を踏み出すことができるはずです。

